おいしんごがそれっぽく語ってみた

四国の真ん中、高知県本山町の役場で林業担当をしています。森林のこと、環境のこと、社会のことなど、日々学んだことや考えたこと、感じたことをそれっぽく語っていきます。

滑り込みで2022年を振り返る

2022年も残すところ今日のみとなりました。

振り返ってみると今年はブログ記事2本しか書いてないんだな…。書くネタはたくさんあったはずなのに、怠惰が勝ってしまいました。

 

来年はもう少し書き物もしていきたいという抱負も含めつつ、今年最後に滑り込みで、2022年の振り返りを綴っておきたいと思います。

 

土佐本山コンパクトフォレスト構想の策定

今年の一番の成果というか実績としては、本山町の森林・林業ビジョンである「土佐本山コンパクトフォレスト構想」の策定ができたことです。

(これについても一本記事書かないとと思いつつ、気づいたら年が明けていく…)

 

www.town.motoyama.kochi.jp

 

臨時職員として役場に配属された頃からビジョンの必要性を訴えてきて、無事実現できたこと、そして想定以上に素晴らしいものができたことは大変うれしく思います。

もちろんこれはぼく一人の力でできたものでは到底なくて、実現に向けて動いてくれた役場担当者、ビジョン作りのサポートをしてくださった古川ちいきの総合研究所さん、そして何より策定委員として携わってくださった地域関係者の皆様のおかげであります。

 

記憶している限り委員の皆さんからはそれほど後ろ向きな発言というのは出てこなかったように思います。新しいものを作ろうとできるだけ前向きに、会の場でも協力的な姿勢でこのビジョン策定に関わっていただけました。

何よりこのビジョンの特徴は、策定委員に地元高校生が参加していたことだと思います。これは当ビジョンを紹介したほとんどの方からすごいなという感想をいただいています。

その高校生の発言ぶりも大人を驚かせるほどでしたし、高校生がいることで大人の委員もきちんとした発言をしないとという意識がきっと働いたかと思います。議論の起爆剤になってくれた高校生にとても感謝しています。

策定委員会の様子



町内の林業現場視察

このビジョンを見てくださった方々からも高評価を頂いています。

委員からいただいた多角的な意見、未来像を含めた内容もさることながら、読み物としてのデザイン性にもこだわりました。この点は、サポートいただいた古川総研さんに細かい部分での修正を何度も何度もお願いしました。粘り強いやり取りのおかげで納得のいく冊子ができたと思っています。

 

 

2023年度からはこのビジョンを実行に移すべく、「なないろの森推進委員会」を開催しています。

ビジョンの策定委員さんに引き続いて参加いただいていますし、学年の変わった高校生においては、昨年の策定委員の現3年生1名に加えて今年度は高校2年生5名も入っていただいています。

 

今年8月には町外視察として、徳島県三好市にお邪魔して、フォレストアドベンチャー森林組合の製材所、林福連携事業としての割りばし製造工場などを見学させてもらいました。

フォレストアドベンチャー祖谷での視察の様子



 

このビジョンもこれからが正念場です。個人的にはこれから5年でどういった動きができるかが勝負だと思っています。

古川総研の古川さんからは「ビジョンは育てるものだ」というお言葉をいただきました。

できて終わりではなく、それを地域の皆さんも巻き込んで一緒に動いていきながら、外にも仲間を作りながら、育てていきたいと思っています。

 

なないろの森推進委員会のFacebookページとInstagramアカウントを作成しています。

委員会を実施した際の活動や、各委員の活動など定期的に報告していますので、ご興味ある方フォローしてみてください。

Facebook アカウントページ→ Facebook

Instagramアカウントページ→ https://www.instagram.com/nanairo_no_mori/

 

 

久しぶりの上京

ゴールデンウィークに久しぶりに東京に遊びに行きました。コロナの感染が始まった2020年の3月に行こうとしていたのを断念して以来になるので、2年半ぶりぐらいになるかなと思います。

 

 今回の上京は大学のワンダーフォーゲル部の同期の結婚式がメインの目的だったのですが、ついでに大学の友達や後輩、恩師にも時間をいただいて、毎日誰かと会っていました。

すごく久しぶりに会う人もいて、学生時代にタイムスリップしたみたいで大変楽しかったです。

久しぶりに大学のキャンパスにも入ったり、岡本太郎美術館とか懐かしい場所にも行ったりして東京を満喫しました(学生のころ行きつけだったご飯屋さんはゴールデンウィーク中でお休みしてて残念)。

久しぶりに訪れた東京農工大 あいにくの雨

 

なにより学生時代の友達の結婚式に行くのは初めてのことで、すごく感慨深かったです。乾杯の挨拶を任せてくれたのも嬉しかったし、あの頃の仲間と今もこうして深く付き合えていることの嬉しさを深く深く噛みしめた日でした。

ワンゲルの同期と

 

 

中学生の林業学習

 今年の仕事ですごく心に残っていることのひとつとして、地元の中学生の授業で林業学習をしたことです。

詳細は以下の記事をごらんください。

中学生、林業について学ぶ - おいしんごがそれっぽく語ってみた

 

中学3年生が自らのテーマとして本山町の林業を取り上げて学んでくれました。

ぼくもできる限りのサポートをしようと、1度講義し、間伐体験の段取りなどさせていただきました。

 

最後の発表会では、生徒それぞれが自分事化して本山町の林業について考えることができており、探求を深められていることに驚きました。

 

そもそも自分がこの業界に入ってきたことも、さかのぼると小学校の頃に総合的な学習で森林について学んだことが始まりでした。

今年の3年生が将来林業や関連した仕事に就くかはどうかは別にして、中学生の頃にここまで林業について突っ込んで学んでもらえたことが嬉しかったです。

 

学校はもちろんのこと地元業者であるばうむ合同会社さん、山番さんの協力も得て、一度できたことなので今後も引き続いて実施できる機会を作っていきたいと思います。

間伐体験にて指導



 

ドイツ林業視察旅行

今年一番の思い出として言えるのは、ドイツに林業視察に行けたことです。

詳細については、以下記事に書きました。

ドイツへ林業視察 - おいしんごがそれっぽく語ってみた

 

海外旅行は経験があっても、しっかり海外の林業の現場を見る機会はこれまで作れていませんでした。それも日本がこれまで一番参考にしてきた林業先進国ドイツに行けたこと、それもツアー視察とかではないため相当濃密な視察ができたことは、自分の人生の中でも大きなイベントの一つになるだろうと思います。

本場の恒続林も見られました

改めてこの機会をくださった伊藤さんと翔さんに感謝したいです。

 

実は来年、このドイツ視察についてお話をする機会をいただきました。振り返りをしながら準備をしているところなのですが、改めて見てきたものはドイツ林業の一部なんだよなということを感じています。

ドイツ林業について書かれた書籍や論文はかなりあるんだろうけど、そのインプットも不十分なままです。今回行ったことで、よりまた見に行きたいという想いが強くなりました。

ドイツに限らずヨーロッパやその他の地域の林業も学んでいきたいと思います。

 

次海外視察する際は、そのあたりのインプットもしっかりしてより深い学びができたらと思います。

 

 

フォレスターギャザリングに初参加

「全国の(自称)フォレスターよ、集結せよ」という言葉が銘打たれた森林技術者の集い、フォレスターギャザリングに今年初めて参加しました。

www.forestergathering.com

2015年に岐阜県で始まって、今年で7回目。岡山県西粟倉村で実施されました。

 

西粟倉村は「百年の森構想」を立ち上げ、森林を中心とした村づくりを進めている地域として有名で、以前視察に行ったこともあったのですが、時間が限られていたので村役場の担当者の方からお話を聞くだけしかできていませんでした。

今回は百年の森構想の中心となる株式会社百森さんの取り組みをじっくりお聞きすることができました。

再造林現場にて議論



 

西粟倉だからできるんだ、ではなく、じゃあ本山ならどうできる?に変えて考える、そのヒントをもらえた会だったように思います。

全国のフォレスター林業技術者の方との交流もできてとても刺激的な研修となりました。こうした取り組みには今後も積極的に繋がっていきたいです。

来年度は…、乞うご期待です(笑)

 

ちなみにこの帰りに兵庫県豊岡市まで足を伸ばして、「植村直己冒険館」にも行けたのは良い思い出です。

 

地域フォレスターの募集

ビジョンの今年の動きで特に大きかったのは、「地域フォレスターの募集」を始めたことです。

高知県本山町、4月より移住者を地域フォレスターとして採用 50年の森づくり構想実現への第1歩|PressWalker

 

本山町ではこれまで林業の現場作業者の確保を進めるため地域おこし協力隊の林業振興活動員の受け入れを進めてきました。しかし、ビジョンができて町の林野行政が大きく展開していく中で、現場で作業する技能者だけでなく、地域に張り付いて現場と行政をつなぐ、そんなプレイヤーの必要性も高まってきています。ビジョンの委員の中でもこうした人材へのニーズは大きく、地域おこし協力隊の制度を使っての募集を始めるに至りました。

 

 これに近い動きをされている方は、「地域フォレスター」という名称は使わないだけで、探せば日本各地にもぽつぽついらっしゃると思います。しかしそれはその人個人のやる気や興味がそうしたものにあったから発生したもので、ある意味運がよかった地域だと思います。自然発生的にそうした人材が生まれるのを期待するのはかなり難しい。そこで、行政が責任もってそうした人材を育成していくということを本山町は決めました。

 市町村レベルの地域に張り付いた地域フォレスター、現場フォレスターの育成という点では、奈良県フォレスターアカデミーが現在進めていますが、市町村レベルでは全国初だと思います。

 募集にあたって期待の声をお寄せいただきました。これからどんな展開になっていくのか個人的にも楽しみです。

 

ちなみに募集にあたって、大阪市の古川総研さん事務所兼バーである「ちいきのBar峠」で募集説明会を実施させていただきました。

参加者に向けて本山町の紹介をしました

募集説明会チラシ

古川さんが関わってきた全国各地の木材がディスプレイされた内装はまさに都市の中の森です。各地域の食材やお酒も提供されていて、お洒落な雰囲気のバーですので、大阪に行かれた際は是非立ち寄ってみてください。

古川ちいきの総合研究所HP chiikinoblog » お知らせ

 

 

地域おこし協力隊の新しい仲間が5名加わりました

これはぼくのできごとではないですが、ご報告。

今年度は新しい地域おこし協力隊が5名加わりました。林業が2名、アウトドアが2名、商工会担当が1名です。

地域おこし協力隊のOBとして、こうして新しい協力隊さんがそれぞれ色んな想い、ビジョンをもって本山町に移住されているのをとても嬉しく思います。それぞれ個性的なキャラクターで、バックグラウンドも多種多様。とても楽しく関わらせてもらっています。

林業班は現在4名で活動中です。色々こちらからのお願いを聞いてもらっていますが、卒業後しっかり地域でお仕事ができるようにこれからも活動のサポート、技術的支援を継続していきたいと思います。

 

ちなみに来年度4月からの林業振興活動員も絶賛募集中です!

新しい取り組みが始まった本山町で林業にチャレンジしたいという方。是非ともご応募ください。

来年度すぐにはちょっとという方でも、興味ある方お気軽にご連絡ください。

www.town.motoyama.kochi.jp

 

 

現場作業やその他の副業仕事

今年も、役場の仕事以外に副業でも色々やらせていただきました。

 

林業の現場作業では山番さんや森林組合さんの現場で、間伐、皆伐、植え付け、下草刈り、地拵え作業などを行いました。

 

最近は皆伐現場に入っているのですが、伐倒作業もたくさんさせていただいて、伐倒技術のレベルアップも図っています。

太めのヒノキも確実に伐倒

 

電柱と隣地の間2mを狙うシビアな場面も

 

その他、町内ではモンベルでの登山ガイド、藤川工務店さんでのOWLを使った森林調査業務、ヤドリギさんの公園樹木の剪定作業。

町外では林業大学校の森林情報学の講師サポートは今年で3年目になりましたし、大学の頃からお世話になっているJUONネットワークさんの四万十森林の楽校のスタッフなどもさせていただきました。

地上レーザスキャナOWLを使った森林調査

役場以外で仕事をすることで人のつながりはもちろん、仕事の視点も広がってくるように思うので、好循環が生まれているのを感じます。

 

 

 

 

以上、駆け足ですが2022年を振り返りました。細かいことを上げたらもっともっと色々あるのですが長くなっちゃうので特筆すべきところだけ。

特に今年度に入ってからは新しいことをあれこれ初めたために本当に目まぐるしい日々で、その中でドイツへの視察や県外視察などもあり、バイトもやりで、非常に濃密で一瞬だったなと感じています。

新しい出会いがたくさんあり、また周りの人たちに例年以上に支えられて走り切った1年でした。

コロナ禍が続く中でも、久しぶりの面々に会えて元気もたくさんもらいました。

 

 

2023年はまた新しい環境にうつる予定です。また年度末にご報告できたらと思います。

また大変な年になるだろうなとすでに見えてきているのですが、踏ん張って乗り切っていきたいと思います。

 

冒頭で書いたように、来年はもう少し定期的にブログも更新していきたいと思っていますので引き続きお付き合いください。

 

それでは皆様、よいお年をお迎えください。

今年1年ありがとうございました。



 

おいしんご