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おいしんごがそれっぽく語ってみた

四国の真ん中、高知県本山町の地域おこし協力隊(林業振興活動員)として活動しています。森林のこと、環境のこと、社会のことなど、日々学んだことや考えたこと、感じたことをそれっぽく語っていきます。

大きなビジョンから目の前の森を考える

藤森隆郎さんの著書『林業がつくる日本の森林』(築地書館 2016年)を読了した。

藤森さんの本は『「なぜ3割間伐なのな」林業の疑問に答える本』を読んだ事はあって、今回が2冊目。

林業がつくるー』は、大学時代の指導教官もオススメしている(と生協の購買では書かれていた)もので、『疑問に答える本』も面白かったので、非常に楽しみにしていた。

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以下レビューです。

 

 

現在の日本の森林・林業の問題点を明確に示した上で目指すべき社会像(持続可能な循環型社会)という大きなビジョンから、あるべき森林の姿(目指す生態系サービス男を明確にした緩やかなゾーニングと構造の豊かな森林)と目標林型の設定の重要性を指摘している。

 

また現場技術者への提言、技術者養成のあり方から、現行の森林林業政策の批判、行政と研究機関のあり方にも指摘をし、かなり広い内容のものとなっているのは注目すべきところ。

 

本書の構成は、第1部が「日本の森林・林業の現状と問題点」、第2部が「問題を解決するために必要な事は何か」、第3部が「新たな森林管理のために必要なこと」、第4部が「豊かな日本の農山村と社会を目指して」となっている。

それぞれで、幅広い議論がなされていて、1冊でお腹いっぱいな構成である。

 

詳細は本書に譲るが、多くの林業関係者は読むべき一冊になっていると思う。

現場の林業技術者はもとい、日本各地や海外の現場を渡り歩いた筆者が示す、政策提言は森林関係の行政職員にも次刺激となるものとなっている。

特に、材価の下落だけが林業不振の要因ではない、という指摘はとても新鮮。

定かどうかは別として、低い材価の中でどうやってやっていくかという、創意工夫は大事だし、それを欧州の国をやってきているのだと思う。

 

大きな提言をどう調整するか、それこそ行政版の枠組みや森林行に関する提言については、非常に多くの議論と時間を要する部分になるとは思う。

しかし、大きな社会ビジョンと理念を持って、目の前のことをどうしていくかと言う姿勢は物事を変えるためには常に必要で、そのための情報や知識を与えてくれる本書だと思う。

 

現場の人間として、まずは技術習得なのだろうけど、その先まで見据えた活動をしていきたい。

 

 

藤森隆郎さんは、元々は森林生態学が専門で、造林技術の研究、特に複層林施業の研究を中心に行ってきた。多くの著書も出されていて、研究を現場に還元したいという想いの強さもうかがえる。

国連傘下の持続可能な森林管理の基準・指標作成委員会(モントリオールプロセス)の日本代表なども務め、国際的感覚も有した研究者である。

 

『「なぜ3割間伐か?」林業の疑問に答える本』はこちら。

表紙が可愛い。

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けっこうボリューミーな専門書も買った。今後読みたい。

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