おいしんごがそれっぽく語ってみた

四国の真ん中、高知県本山町の役場で林業担当をしています。森林のこと、環境のこと、社会のことなど、日々学んだことや考えたこと、感じたことをそれっぽく語っていきます。

結局、高知の森に生きることになりましたー「木こり」という選択

 

この度、4月から高知県本山町の地域おこし協力隊員、「林業振興員」として働くことが決まりました。

 

まわりの友達が試験がどうとか面接がどうとか内定式がどうとか言っている中、何も決まっていない自分はどうなるんだろうと正直不安でしたし、

1月末に面接を受けてからも受かってるか見えなさ過ぎて不安でしたが、

無事、4月からの行き場が決まって安心です。

 

任期の3年間はとりあえず林業の技術習得と、地域の仲間入りをする準備期間ということで頑張っていきたいと思っています。

 

そんな進路選択をしたぼくですが、木こり、言ってしまえば林業の世界に飛び込んだわけですが、国立大学に進学をした後に新卒で林業新規参入というのはなかなか珍しい存在のようです。

今日はぼくが木こりの道を選んだことについて、さらにこれまであまり語って来なかったぼくの森に対する想いについて語ってみたいと思います。

 

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林業の未来は明るい、気がする!!

 

林業というのは今も3K(きつい、危険、汚い)の産業というイメージが強く、給料も少なく、衰退産業のひとつのように語られます。

こうしたなかなか厳しい現状は疑いようのない事実だと思います。

でも、個人的には森や林業の分野はまだまだ開拓の余地があって、未来はけっこう面白いんじゃないかと思っています。

 

2000年代になって、社会や生き方の見直し、より自然に近い生き方、というものを求める人が増えてきているという動きがあります。

特に東日本大震災原発事故によるライフスタイルの見直し、『里山資本主義』の大ヒットなども典型的なものだと思います。

 

70年代のヒッピーのような運動的なものではありませんが、自分の生活を見直して、自然に配慮した生き方を、自然に寄り添うような生き方、家族との時間を大切にしてライフスタイルをしてみたいというものだと思います。

 

そこでは、食の自給と同時にエネルギーの自給という考え方も広がっています。

エネルギーの自給と行った時に、太陽光と同時にペレットや薪など、木質燃料への注目度も増えているように感じます。

 

また、住居も木の家に住みたいという人は一定数いるのではないでしょうか。

最近では公共建築に木を使う、という動きも活発になりつつあります。

資源としての木材というものを見直そうという動きが、だんだんと出てきているように感じます。

 

そういう貴重な資源の利活用は、文明が無理して膨張し暴走しているように見える現代において、新しい道を開いてくれるように思っています。

 

 

なにより日本には森林がめちゃくちゃあります。

国土の2/3の面積が森林で、しかもその4割は人工林(利用するための森)です。

この森林率は先進国の中では世界3位という非常に高い位置にあります。

その中でも高知なんて県土の87%で、これに目をつけないってどうかしてますぜってかんじです。

 

加えてその人工林というのは50,60年前ぐらいにぼくらのおじいちゃんやおばあちゃんにあたる年齢の人たちが一家総出、なんなら村総出で山に大量に木を植えたわけなんですが(拡大造林政策)、それがちょうど今伐り時の太さに成長しているんです。

つまり今の森は林業やるにはめちゃくちゃ良い条件なわけです。

 

それに加えて、CLTという新しい木材加工というか木材利用の技術が確立したり、木質バイオマスのエネルギーとしての利用技術が発展してきていたりと、利用の方でも様々な動きがあります。

東京オリンピックも木材利用の拡大に大きな影響を及ぼしそうです。

 

既存の林業界の考え方、施業方法、流通や市場のあり方などには改善の余地がありますし、日本の今後の林業や未来の森林がどうなるかというはまだまだ議論の余地があると思うのでこれまでのやり方で容易にというわけにはいかないと思いますが、

やり方次第ではまだまだ可能性のある、やりがいのある産業だとぼくは思います。

 

 

 

森の中で働きたい

それじゃあ現場じゃなくてもっと全体を見られる行政、それこそ林野庁とか県庁とかでもよかったんじゃないかというところなんですが。

個人的に、デスクワークは性に合わない!というがかなり大きな理由です。

 

そして逆に、365日森に行っても飽きないだろうなという自信もあります。

 

やっぱり小さい頃から体を動かすのが好きだったのもあるし、森のことが分かればわかるほど、見た目はただの森でも色々と見えてきて楽しかったりします。

森の中はすごく居心地がいいです。

 

そう自分が思える環境があるのなら、そこで働く場があるのなら、そこで働かないわけにはいかないだろ!ってのがなんだかんだで一番の理由です。

 

林業というのは肉体労働の典型例みたいなイメージがあると思います。

確かに山の中歩きまわるし、重いものをもつことはあって肉体労働的な側面もありますが、ぼくはそれ以上に、非常に知的な職業だなと思っています。

 

木一本伐るにしても、どの木を伐ったら山が活きるか。木の形や地形を読み取ってどちらに倒すか、適当に伐るんじゃなくて、どう作業を進めていけば安全に効率よく作業ができるか、といったことを考えます。

道を作るときなども地形を読み取って、山を崩さないような道をつくる必要があります。

 

まさに自然と対話しながら良い森を作っていく作業。

これは、確かに多くが暗黙知に含まれる知識かもしれませんが、非常に頭を使う作業だと思っています。

そういうところも林業の面白さだと思っています。

 

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森を活かして、森と共に生きる

 

色々書いてきましたが、本当に森林には色んな可能性があるし、やり方次第でどんどん面白くなってくると思っています。

個人的には、森を林業だけの現場にするんじゃなくて、より多くの人が森に入って、森に関われるような活用の仕方をしたいと思っています。

 

森を林業家や山主さんだけの場所にしておくのはもったいないと思います。

遊ぶ場所、学ぶ場所、山菜や木材以外のものの生産の場。

そしてもちろん動物たちの住む場所。

そういったところを見据えて、森と関わっていきたいと思います。

 

 

ぼくは偉そうなことをあれこれ言っていますが、あまり日本の林業を再生しよう!とかそういう肩肘張った気持ちはあんまり持っていなくて。

どちらかというと、自分の生きる場所、居てもいい場所、居心地のいい場所を探して、森にたどり着いたといったかんじだと思っています。

 

どうやったら自分の納得する生き方ができるのか。

 

この20余年間でとりあえずたどり着いたところが、「森を活かして、森と共に生きる」生き方、なんだろうなと思います。

そういう意味では社会的な意識や責任なんてのは、そんなにないのかもしれません。

 

 

まだ現場に入ったわけでもありません。実践はこれからです。

3年後、この文章を読み返して、全然違うじゃんってことになってるかもしれません。

でも、参入当初はこんな若い、青いことを考えていたんだろうな、というのは残しておきたいと思います。

 

 

高知の森を守るんだ!という気持ちを持ったのは小学生のころでした。

そして、高知の森で面白いことを!という想いを持って大学に入ってきました。

 

何はともあれこうして、小さいころからの想いに正直になんとか生きて、進んでこられているのは、本当にうれしいことです。

 

 

大学4年間で学び考えた、森林のこと、社会や「地域」、人間についての諸々があったからこその内定だと思っています。このような学びの場があったことに深く感謝しています。

それと、大学以外のところでお世話になった多くの方々。漏れなく優しく温かく志の高い方々、学生のみんなに支えられて、次のステージに行けるなという気持ちでいっぱいです。

ぼくは本当に幸せ者だと思います。

 

みなさん、機会がありましたら是非高知に遊びに来てください。お声がけくだされば、いつでもご案内いたしますので!!

 

 

おいしんご

 

 

 

 

 

高知県本山町について

高知県中央北部の山村です。山村といってもwoodjobで出てきたような場所ではなく、スーパーとか学校とか病院とかもきちんとあるようなところです。でも森林率は92%、高齢化率も40%を越えています。

高知市からは高速を使ったら1時間ちょっと。使わなくても2時間かからず来られます。

棚田の景観が非常に素晴らしく、そこで作られた米「天空の郷」はお米日本一コンテストで2年連続1位を取ったとか!その棚田の景観や美しい川(徳島へと延びる吉野川とその支流である汗見川など)が評価され、「日本で最も美しい村連合」にも属しています。

 

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地域おこし協力隊について

総務省|地域力の創造・地方の再生|地域おこし協力隊

総務省の事業として始まったもので、地方公共団体(市町村役場)で嘱託社員として働きます。業務内容は地域によってバラバラで、地域おこし活動全般だったり、ぼくのように林業に特化した内容だったりします。月収も地域によりますが、17~20万強ぐらいが相場だと思います。

立場としては半分公務員みたいな感じです。任期は3年で、その間に起業をしたり技術を磨いて任期終了後にもその地域で暮らしていけるように準備をします。