こんにちは、おいしんごです。
はてなブログをやる前はアメブロでブログを書いていたのですが、そちらで書いた記事もちょこちょここちらに移していこうと思っています。
(カコブロ)と称して、これは良かったなぁというのを貼り付けていきます。
今回は2015年3月に「日本と原発」という映画を見に行った感想のものです。
今日は私がお世話になっている大学の先生が役員を務める文明フォーラムの集会で映画「日本と原発」を観てきました。
以前から予告版を見たことがあって観てみたいなぁと思っていたのでとてもいい機会でした。
このドキュメンタリー映画の監督は河合弘之さんという弁護士さんです。弁護士という立場から、さらには一国民として今の原発推進にNOを掲げて作成しました。
本日は実際に河合監督が来てくださり、映画前に50分ほどお話をしていただきました。
内容としては4年前の福島第一原発事故に関することから始まり、学者や専門家の方々や、原発立地である浪江町から避難している人々、チェルノブイリ原発による被ばく患者を診ているウクライナの医師など、たくさんの人のインタビュー、さらにナレーションによる原子力ムラの構造や河合監督自身が推進派の語る原子力発電の利点に対する反論解説などによって進んでいきます。
難しいことはまったくなく、事前知識がなくても十分観られるものになっています。
そもそも映画化にした理由が、世に出回っている原発関連の書籍はやはり難しくて手に取りにくいから、映画という受け取りやすい形にしてもっと多くの人に知ってもらおう、というものことらしいです。
原発のことよく分からんって人にこそ是非とも見てほしい。原発推進派の人さえもこの映画は観るべきだと言っているそうなので、導入としては非常にいいと思います。
映画について、印象深かったのは何点かあるのですが、まずはやはり「原子力ムラ」の構造とその根深さについてです。これについては図とナレーションによてかなり細かく説明してくれました。
中心核となるのは電力会社なのですが、そこから派生してくる矢印として下請けの企業、工場。
広告などをお願いするメディア界
御用学者などと言われますが、原発神話を支える科学的権力としての大学
そして経済産業省をはじめとして原発を推進する大きな力となる政府
政府には多額の寄付金が入ってきますし、天下り先という形でも電力会社と強力な癒着関係にあります。
こういう形で原子力ムラはあり、現在の政権は原子力ムラに支えられている、日本経済の6,7割は原子力ムラである、そうです。
河合監督の講演の中では、映画作成を考えた時に仲の良かったある映画監督に頼んだら、これを作ったら映画が作れなくなるからそれは乗れないと断られた、というエピソードを語ってくれました。
現に、「東京原発」という映画を作った監督さんはその後映画を作っていない(作れていない?)そうです。
そこまで原子力ムラの圧力の範囲というのは広い、ということを教えてくれました。
ここが原発の最も根源にあるもので、脱原発にとってもっとも難しい問題だなと思いました。
さらに、原発が不適切なエネルギー源であることを科学的に解説してくれました。ここはとても勉強になった部分です。
コストに関しては、電気代というのは確かにほかのエネルギー源に比べて安いのですが、電気代として払う以外にも税金として気付かれないところでかかっているコスト(例えば福島第一原発の処理コストや自治体への補助金)があるわけで、それを合わせたいわゆる社会的費用に換算すると、他のエネルギー源のコストをはるかに超してしまうのです。
そういう視点から見ると、原子力は安価なエネルギー源ではないのです。
また原発がなくても電力は足りるという事実。これはよく知られた隠しようのない事実です。
また福島第一原発事故後にできた原子力規制委員会と新しい規制基準については、すべて再稼働ありきで話が進んでいるということ。
福島の事故で絶対安全という安全神話は崩れたわけですが、次事故が起こった時の対策があまりにも不十分なまま再稼働が進められている。そもそも規制委員会の委員長も「絶対安全と言われればそれは否定する」というようなことを言っているわけです。
河合さんが強調していたこととして、避難経路の確保が不十分だということが言われているが、それ以上に事故が起きればその原発立地の地域はもう人が
住める場所じゃなくなるんだ、ということ。
チェルノブイリがそうですし、浪江町もそうです。100年か200年かは人が住めるような場所じゃなくなる。つまりそこが日本の土地じゃなくなるということです。
しかも日本は世界的に見ても相当な地震&火山大国です。事故の危険性は他の国、地域と比べてもかなり高いでしょう。
そんな危険性のあるものを再稼働なんてのは、それにとんでもない利権がからんでいるといっても、異常としか言えません。
そして最後に核廃棄物処理について。
原発をはじめた当初は再処理と高速増殖炉でもってウランを一度輸入すればあとは永久にリサイクルしていけるという考えだったのですが、そのどちらもが失敗しているのが現状です。
そして核廃棄物が生まれる。これを無害化するには何十万年という人類が保障できるかどうかも怪しい年月がかかると言われています。
そしてその処理施設も日本では決まっていない。
これは将来への負の遺産となります。再稼働すればその遺産はどんどん増えることになります。そんなことしていいわけがありません。
私はこれまで、原発はやっぱりよくないよなぁと思っていましたがきちんとした論理を持ってこれが言えなかった。
でも今回この映画を見てこれが確信に変わりました。
脱原発は決して感情論ではなく、理性的・論理的に考えても、そして愛国心に訴えればより明確に、それが正当である。そう実感できました。
河合さんはまた、弁護士という立場から司法の重要性を語っていました。
世論としては脱原発の方が強いのに、選挙をしたら推進派の政党が勝ってしまう。民意と政治がねじれている状況です。
このように民主主義の弊害というものが現れている状況なのですが、司法だと正義は正義と裁判で決まるから、その弊害を食い止めることができると言っています。
そういう点からも、大飯原発訴訟の判決は快挙と言えるかもしれませんね。
大飯原発訴訟についての話も映画中には出てきます。
政府は動かせなくても、裁判官は動かせるかもしれない。民意を示すということはそういう意味でもとても大切なんだなと思いました。
以上のようなことが映画に対する感想です。
とはいっても、現実的に脱原発に対するハードルは低くはありません。
それによって生活ができている人々がたくさんいます。その人たちの生活をどうしていくか、ということも考えていかないとと思います。
最後に、映画ではオルタナティブとしての自然エネルギーについても触れられています。
自然エネルギーで有名な飯田哲也さんも出てきていて、自然エネルギーの有効性、経済的に有利な面、実行可能性などが語られています。
原発もそうですが地球温暖化の問題がある現在、火力発電の比重も減らしていくべき、という意味で自然エネルギーはとても重要です。
しかし私は、自然エネルギーもとい再生可能エネルギー礼賛には少し懐疑的な立場です。
メガソーラーなどがそうですが、大規模型の再生可能エネルギー事業はいかがなものかと思っています。大規模バイオマスプラントについてもです。
バイオマスに関しては、利益を求めてたくさん使ってしまうと木が再生速度より早く伐られてなくなってしまうかもしれない。
太陽光や大型の風力は生態系に配慮されているのか、発電機の廃棄という部分も考えられているのか、という心配もあります。
小規模エネルギー、地域自給エネルギーというのが目指される形だと今は思っていますが、ここら辺に関しては個人的にまだ勉強が足りていないのでもっと勉強したいところです。
以下個人的な見解なのですが
オルタナティブよりも重要なのがやっぱり省エネだと思います。
こんな時間までパソコンカタカタやってるやつが何言ってんだって話ですが、日本を含め先進国はエネルギーを使い過ぎだと思います。人類みんなが日本人と同じ生活をしたら地球が何個いるかとかよく分かる通りです。
カットできる部分はきっともっとたくさんあるはずですが、やはり今の生活に慣れてしまっているとなかなか難しいですね。
省エネとしては、こまめな節電はもちろんですし、なるだけエネルギー効率のよい仕方でエネルギーを使うということも大切です。電気は変換の際にエネルギーがけっこう減るのです。
例えば熱として使えるものは熱として使う、IHではなくガス、電気ヒーターでなくペレットストーブや薪ストーブなどですね。
ゴミ対策の根幹がリデュースであるように、省エネはエネルギー対策の根幹だと思います。
以上、「日本と原発」を観ての感想でした。
原発問題は今では日本社会の一番の問題といっても言いぐらいの大問題です。国民一人一人に関わる問題です。
そして一人一人ができることは何より、知ることと考えること。
こんなに分かりやすい映画ができたんです。調べたらけっこう色んなところで上映しているようです。ハードルはかなり低いと思います。
是非とも見てほしいと、心より思います。
今日は以上です。読んでいただきありがとうございました。
おやすみなさい
おいしんご
映画「日本と原発」公式HP
http://www.nihontogenpatsu.com/
予告動画もここから見られます。