おいしんごがそれっぽく語ってみた

四国の真ん中、高知県本山町の役場で林業担当をしています。森林のこと、環境のこと、社会のことなど、日々学んだことや考えたこと、感じたことをそれっぽく語っていきます。

「あひるの空」が面白すぎる

私、おいしんごは漫画が大好きで、たくさんの種類読んでいるわけではありませんが、日常的に色々と読んでいます。

その中でも今続きが一番気になる漫画は「あひるの空」です。

             

 

あひるの空少年マガジンで2004年より連載しているバスケ漫画です。作者は日向武史先生。現在43巻出ていて、まだまだ連載中です。

2004年ということで僕が小4ぐらいのころから連載しているんですねぇ。驚きだ。

 

今日はそのあひるの空がどう面白いかを、頑張って語ってみたいと思います。

ネタバレもあるので注意です。

 

あらすじ

149cmと小柄な高校生ながら、天性の才能を魅せるバスケ少年・車谷空! 入学先のクズ高で、最初はバスケをやるには困難な状況だったものの、空の熱意に影響を受けて、千秋・百春兄弟や、天才少年・トビなど続々メンバーが集まった! 順調に進みだしたクズ高バスケ部だったが、挫折や事件とあらゆることに巻き込まれていく‥‥。バスケを愛する空たちは、数々の困難にどう立ち向かうのか!?

『あひるの空』(日向武史):既刊一覧|講談社コミックプラス

講談社のページでは上のように紹介されています。

149㎝という驚異的な小ささの高校生・車谷空ですが、その小ささから繰り出す制度の高い3ポイントを武器にプレーするというもの。

また入学した高校(九頭龍高校、以下クズ高)も、バスケ部は不良の溜まり場で実質無いようなものだったのですが、空の入部をきっかけに動きはじめ、そこに新しい仲間も加わり活動が始まるというものです。

これだけ聞いたらバスケに限らずわりとありがちなスポ根のように思います。

 

キャラが特徴的とか、試合が精巧に構成されているといったところでは他のバスケ漫画同様しっかりしているのですが、それ以外にも一線を画す部分があるように思います。

 

では、あひるの空がそういったありがちなスポ根とどう違うかを紹介したいと思います。

 

 

1.全然勝てない

今回読み返してみて確認したのですが、クズ高がフルタイムの試合で初めて勝つのはなんと22巻です。

それまでは、ハーフタイムの試合での勝利はあるものの、まったく試合で勝てません。

これって他のスポーツ漫画と大きく異なる部分だと思います。

 

上でも書いたように、もともと空の入学当初は不良の集まりで、6人のうち3人が素人でした。そこに経験者と敏腕マネージャーが入部して部は安定するのですが、それで試合に勝てるほど甘くない。

 

よくあるスポ根は、最初は一度二度負けはするものの、IH予選などは順当に勝ち上がったりするものですが、あひるの空はもう本当に勝てない。

それ以降も負ける試合はきちんと負けます(笑)

そしてこれはとんでもないネタバレなのですが、結局2年目、空が2年生の勝負の年となるIH予選も切り抜けられずIHには出場できません。

その結果だけ先に出して、その過程を現在連載中というかんじです。

40巻では作中でこのようにも書かれています。

これは決して

無名の弱小校が全国に名を轟かすような

そんな奇跡の物語じゃない

挫折と再生

そして、そして

偉大なる 敗戦への軌跡

 

 漫画らしからぬ漫画、そんなリアルなところが共感でき、感情移入しやすいですね。

 

 

2.退部、いじめ、恋愛、先輩後輩関係。人間模様の描写が繊細で巧妙

恋愛はどのスポ根にもあるものだとは思いますが、主要メンバーが途中で(それも20巻代後半とか)退部したり、部内のいじめを取り上げたり、先輩後輩の信頼関係だったり、逆にうまい後輩に対してねたむ先輩を出したり。

たくさんのキャラを出すことで、それぞれのキャラとそのチームメイトや他のチームの人々との関係を丁寧に丁寧に描きあげているの印象的です。

 

それこそ指導者や教師、親といった大人の視点や心情も描いています。

空と両親の関係、特に母親との関係はこの漫画の大きな軸なのではないかと思います。

 

高校生という多感な時期に見せる多様な感情を、リアルに描く。こういったところも非常に引き込まれる部分です。

 

 

3.敵チームを敵として描かない

上でたくさんのキャラを出して、と書きましたが、あひるの空ではクズ高以外のチームの練習風景や人間関係などもかなりしっかり書きます。それこそ2,3話その高校の話にしたり、回想にも長い時間をかけるのがとても特徴的です。

クズ高には女子バスケ部もあって、女バスの方の試合も書くことがあるのですが、最近はとうとう他校の女バスの試合まで書いちゃってますね。

内容の幅の広さは圧巻です。

 

こういったことはおそらく作者が意識的に行っていることで、作者の日向さんは単行本の折り込みコメントのところでこのように語っています。

漫画を作る時、敵を単に敵として登場することが多いですが、実はそれは踏んではいけない地雷(38巻)

敵チームにもそれぞれにドラマや歩んできた日々があり、どのチームも勝ち上がっていこうという意志がある。それを蔑ろにして書いてはいけないという意識が強いのかもしれません。

そのせいか、もちろんクズ高には勝ってほしいと思うのですが、一方でこっちのチームにも負けてほしくない…!という意識が生まれてきます。

ありがちなスポ根を読んでいると「どうせ勝つんだろ」という気持ちで読んでしまいますが、あひるの空はそれが全然出てきません。

全然勝てないということの影響もあるかもしれませんが、今回は勝てないんじゃないか⁉という感覚がなんとなくあります。

だからひやひやしながら読めるし、続きがめちゃくちゃ気になるんだと思います。

 

ちなみに私の一番好きなキャラは新城東和の高橋さんです。

 

 

4.詩的な表現に心打たれる

僕はけっこう印象的なセリフとかに注目しながら漫画を読む人なのですが、あひるの空はスポ根漫画らしからぬ詩的な表現や含みを持ったセリフを出してきます。

あと雨の情景描写がとても繊細だとか。花や雪や空、雲をたくみに用いたりだとか。

そのあたりに日向さんの丁寧さを感じますし、行間を読むような楽しさが味わえるなと思います。

 

具体例を出したいところなのですが、文章では説明できないのが悔しいです。是非読んで味わってください。

 

 

5.作者のこだわりや想いに共感します

これは漫画そのものではないのですが、作中の小話やあとがき、折り込みのコメントなどで作者のあひるの空に対する想いが見られます。そこに書かれた作者の人間らしさとこだわりの強さにも、強く惹かれます。

 

例えば40巻の折り込み

過去に2度、映像化の話をもらったことがある。頂いた脚本の結末はどちらも「空がNBAの舞台へ…」だった。

一回目は「テーマと違う…」と思って断ったけど、二回目の時は巻数もそこそこ進んでいたし、正直「まだ解って貰えてない」というダメージの方がでかかった。・・・

 こういう話以外にも電子書籍化を断っているエピソードとか、「あひるの空 BEST COLECTION」というCDでいうところのベスト盤(掲載回は作者選)を出したり。

 

それとマガジンに載っているのと単行本とではけっこう違います。納得いかずに書き直しをしているそうです。新しく書き下ろした短編とかあったり。その分、連載もちょくちょく休みますけどね(笑)

でもなんか日向さんのそういうところもだいぶ分かってきて、休載しても待ってやろうって気持ちになりますね。

それだけ作者の存在というか息が感じる作品だと思います。

 

 

という感じで、まとめてみました。

本当に、バスケ漫画ですがよくあるスポ根も学園青春モノとも一線を画していると思います。

読みたいという人は是非貸すので言ってください(私の周りにいる方々へw)

現在連載中の少年漫画で最高傑作だと僕は思っています。

是非読んでみてください。

 

 

おいしんご