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おいしんごがそれっぽく語ってみた

森林が大好きな大学生です!環境のこと、社会のことなど、日々学んだことや考えたこと、感じたことをそれっぽく語っていきます。

「広河隆一 人間の戦場」を観てきました。

思想 映画

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本日はこちらを観てきました。

フォトジャーナリストのドキュメンタリー映画です。

 

広河隆一さんは、1943年生まれ(現在72歳)のフォトジャーナリストで、中東のイスラエルレバノンパレスチナといった戦地に20代のころからカメラを向けている国際的なジャーナリストです。また、戦地以外にもチェルノブイリ原発事故後は現地に赴き原発近辺に取材に入り、その時の経験や知識を活かして最近では福島原発事故の影響のある福島の地域に赴き写真を撮るとともに人々の生の声を聞いて取材をしています。

フォトジャーナリストの仕事以外にも、報道写真誌「DAYS JAPAN」の編集長を2014年まで務めていました。

 

このようにフォトジャーナリストとしての活動の一面を切り取ったのが今回の作品「広河隆一 人間の戦場」です。

広河隆一さんが長く入っているパレスチナでの取材風景から始まり、

福島で親子と話をしている場面。

チェルノブイリに行って写真を撮りながら、事故直後に甲状腺ガンの摘出手術を受けてそれ以来付き合いのある女性との再会。

そのチェルノブイリ原発事故によって放出された放射能に犯された子どもたちのための保養施設(これの立ち上げには広河さん自身関わる)への訪問。

そして同じく福島事故によって汚染された福島の子どものために設立された「沖縄・玖美の里」(これは広河さんが自費で設立)での子どもたちが遊ぶ映像。

 

といった風に、広河さんが取材に入っている場所や、関わっている場所に関わりながら密着取材されています。

 

 

フォトジャーナリストの活動を越えて、多岐にわたる活動を行っている広河さんですが、ひとつの信念を持って取材を続けています。

 

「ジャーナリストであるまえに、ひとりの人間として」

 

上の画像に書かれてある言葉です。作中の最後のインタビューの際に語られます。

目の前で起こっている悲劇にフォトジャーナリストしてではなく、ひとりの人間として何ができるか。

もちろんそれはフォトジャーナリストは無力であると言っていわけではありません。

伝えるということは非常に重要な仕事だと思います。

しかし、目の前で人が溺れていたら、それを写真に収める前にカメラを置いてでもその人を助けなければいけないというのが、彼の信条なのだそうです。

 

今回の上映後に、当映画の監督である長谷川三郎監督と映画監督の森達也監督のトークセッションがあったのですが、そこで、福島の原発事故が起こって広河さんはすぐ現場に入ったが、ほとんど写真を撮らず支援に回っていたというエピソードが語られていました。このエピソードも彼の信条を物語る一つと言えるでしょう。

 

現地のリアルを、人々の生の声を、世に発信する。というジャーナリストとしての使命も去ることながら、実際に現実を動かしていくために、という気持ちが感じられます。

 

 

この映画で印象的だったのは、トークセッションでも話に上がったことですが、広河さん自身がもつ「加害性」というものです。

 

チェルノブイリの現実をその肌で感じていた広河さんは3.11後に日本は大きく転換しなければならなかったと強く感じていました。しかし、ジャーナリストとして懸命に発信したもののその転換は起こりそうもない。

再稼働もすでに川内原発で行われました。

政府は基準値を大きく越えた場所を、避難解除にしようとしています。

広河さんは「負けばかりだ」「伝えきれないのが悔しい」と作中に何度も言葉を漏らします。

戦争についてもそうです。空爆が繰り広げられている地域。正義の名のもとにそれを正当化し、支援する先進国。

 

現実を直視しているからこそ、そしてそういう現実に知らず知らずのうちに自分が飲み込まれる、もしくは加担しているのではないかという、加害性が彼のモチベーションになっているのかもしれません。

フォトジャーナリストとしての使命感と無力感に、彼は引き裂かれていると言えるかもしれません。

 

 

人間の尊厳が失われた奪われた場を広河さんは「人間の戦場」と呼びます。

それは上で見たように、銃撃戦がドンパチ繰り広げられている場だけを言うのではありません。

自由と民主主義が豪語される社会において、しかしどれだけ尊厳が無碍に扱われていることか。

彼がカメラという武器を持って、世界と、社会と、権威と、そして自分と戦ってきた、その積年の想いから紡がれる言葉に、耳を傾けるべきだと思います。

 

予告はこちらから。

youtu.be

 

公式HP

映画『広河隆一 人間の戦場』公式サイト

 

東京では1/29まで、新宿K's cinemaにて公開中。順全国で公開予定だそうです。

是非、足を運んで自分の目と耳で感じてきてください。

 

 

おいしんご